JMCA 日本メディカルライター協会 > PUBLICATION MANAGEMENT 意見交換会事例集 > 事例集 > 企業主導治験における施設の治験責任医師変更時の著者選択
事例集:事例No.45
  • 分類:Author selection
  • 検討時期:2022年6月 (更新: 2025年7月)
  • トピック
  • 企業主導治験における施設の治験責任医師変更時の著者選択
  • 経緯・背景
  • ・企業主導治験のPublication(学会もしくは論文)において、治験の各参加施設から著者を選択する際、施設の治験責任医師(PI)が最も貢献しているとして著者になることが一般的である。
    ・治験実施からPublicationまでの間に、施設のPIが変更となった場合、その施設における以前のPI(旧PI)と現在のPI(現PI)のどちらを著者とするかは課題であり、判断に迷うことがある。
    ・特に、治験の長期フォローアップ成績のPublicationの場合、旧PIと同様、現PIの貢献度も高い場合があり、著者の選択は難しい(現PIのほうが旧PIより長くPIを継続し、患者をフォローしているなど)。
  • 討議内容
  • ・試験期間中にPIが変更となった場合、どちらのPI(旧PIもしくは現PI)を著者とするか。そのために何か選定基準を設けているか。基準を設けていない場合は、どのように決定しているか。
    ・選出したPIの所属が変更となった場合、所属の記載をどうしているか。
  • 論点及びほかの選択肢
  • ・施設のPIが変更になったケースや、長期フォローアップのケースに対する著者の選定基準を設けている企業等はなかったが、ICMJE著者資格の#11)について、今回の治験の研究内容に対する貢献の大きさを旧PIと現PIで比較し総合的に判断して著者を選択している企業が多かった。ただし貢献度をスコア化するなどして定量的に評価している企業はなかった。
    ・GPP 2022には、「著者の所属が変わる場合」として「所属の変更によってオーサーシップの資格が失われるわけではないが、著者としての責任を果たす能力が所属の変更によって妨げられる可能性がある」旨が記載されている2)
    ・貢献はあるが著者資格を満たすには十分でないために著者にならなかった場合(Nonauthor contributor)には、Acknowledgementにそのcontributionを記載することもできる。
    ・理想的にはさまざまなケースを想定して、事前に著者選択の選定基準を設けるのが望ましく、貢献度の考え方についても合意しておくことが望ましい。
    ・選出したPIの所属が変更となった場合は、GPP2022では「公表される研究が実施されている時期の著者の立場を反映すべき」とあり、すなわち主に貢献のあった所属(施設名)を記載することとし、変更後の現在の所属は脚注に記載してもよい、とされている。しかしながら最終的には雑誌の投稿規定等に従うべきである。実務的にはAuthor bylineに旧所属と新所属が併記されることや、著者の強い希望により新所属のみが記載された経験もあった。