JMCA 日本メディカルライター協会 > PUBLICATION MANAGEMENT 意見交換会事例集 > 事例集 > 論文や学会発表スライドを製薬企業で作成する際の、Quality control(QC)に関する社内ルールと方法について
◤事例集:事例No.46
- 分類:Quality Control
- 検討時期:2023年8月 (更新: 2025年7月)
- トピック
- 論文や学会発表スライドを製薬企業で作成する際の、Quality control(QC)に関する社内ルールと方法について
- 経緯・背景
- 論文や学会発表スライドなどの公表物は人が作成するものであるため、作成過程でミスが生じうる。そこで、研究の信頼性の確保のためにも、QCは重要である。
- 討議内容
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①QCに関してStandard operating procedure(SOP)などの社内ルールがあるか②QCの方法③外部に委託した解析/論文も社内でQCを行っているか④論文アクセプト後のProofでのQCの方法
- 論点及びほかの選択肢
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①多くの企業で、QCに関するSOPなどのルールがある。ただし外部委託している場合のSOPは準備していない企業も多い。②多くの企業で、原資料のQCとそこから転記した内容のQCを別立てで行っている。転記した内容のQCは、Publicationに関わらない社内の他部門が行うこともある。さらに、言い過ぎがないかなどといった、科学的担保のためのチェックも行う。Acknowledgment/Author/Principal investigatorの名前や所属の表記等の確認については、本人へ依頼するケースや、社内の担当者がダブルチェックをするケースがある。なおグローバル研究の場合、海外では公表物の主要素でないとして確認されないことが多く、課題となっている。英語自体のチェックについては、ネイティブチェックを行う、ベンダーと共同でチェックを行うなど、企業により対応はさまざまである。なお、数値の桁を丸める際は、四捨五入を行う桁により丸める数値が変わる場合があり、特に注意が必要である(原資料にあたる必要あり)。③論文公表後にErratumやCorrigendumなどのCorrection(正誤表)対応を行うことが稀とはいえない現状がある。論文作成業務としてQCを実施してくれるベンダーがいる一方で、そうでないベンダーもおり(特に海外)、委託元でダブルチェックを行うよう対策をとっている企業もある。なお、解析外注時には解析結果データの正しさをどのように発注元でチェックするか等、特にチェック体制に関する課題が多い。④論文アクセプト後にジャーナル側が意図しない変更を行っていたり、(その結果)エラーが生じていることが少なくない。そのため、論文Proofにおいて、文字校正に加えてQCが必要となる場合がある。返却期限が短い場合も慌てずに、必要に応じて返却期日について延長の依頼を行い、公開直後にも慎重に確認することが重要である。
- 参考情報
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1) Lang TA,著(宮崎貴久子,中山健夫,監訳). トム・ラングの医学論文「執筆・出版・発表」実践ガイド
※2012年出版のため一部内容が古い部分はあるものの、医学論文の制作プロセスが紹介されており、論文投稿初心者にとって有用な参考文献となりえる。2) N Haycock. Quality control: getting the best out of your review. Medical Writ. 2012:21:221-224.
https://journal.emwa.org/writing-matters/quality-control-getting-the-best-out-of-your-review/