臨床研究の成績を英文の雑誌に投稿する,治験総括報告書を英文で書くといったように,最近では,観察研究や臨床試験の成績を英文で報告する機会が増えています。こんなときに,効率よく英文を書く方法を知っていたら便利なのではないでしょうか。
今回のJMCAサロンでは,「医学論文でよくみられる英語表現」をテーマとして,
● 英語論文の読み方
● 英文作成に役立つツールの紹介
● Methodsに記載する文章を実際に書いてみる
● 演習の成果物の講評
という流れで講義と演習を行います。
具体的には,循環器系の新着論文を紹介する記事の執筆や,論文翻訳の指導を担当している講師が,まず「論文の全体像をつかむコツ」をお話しし,続いてランダム化比較試験やコホート研究のMethodsやResultsでよく用いられる単語や文例を紹介します。簡単な演習も用意していますので,医学論文に頻出する単語や文例を学ぶ機会にしていただければ幸いです。
次に,効率よく翻訳や英文作成を進めるために知っておきたいツールとして,コーパス(言語資料を集めたデータベース)のプログラムの1つであるAntConcを紹介し,このプログラムを上手に使うためのヒントとなる情報を提供します。こうしたツールがあれば,手元の論文からよい文例をすぐに探すことができ,自分自身で書く文章の参考にできると思います。
後半は,参加者をいくつかのグループに分けて,AntConcで検索した文例も参考にしながら,論文のMethodsに用いる文章を書く演習をしていただきます。演習で作成した文章は講師が講評する予定です。
英語は苦手で避けてきたけれど,英語の論文や総括報告書を読んだり書いたりする必要にせまられている方々はもちろん,製薬企業等で社員の英語教育を担当している皆様にも参加をお勧めいたします。
(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻
老年社会科学分野 客員研究員 西村多寿子)