わが国でも市販後の標準治療確立のための臨床試験の重要性がようやく認識され、がん領域以外でも多くの試験が行われてきている。これらの試験を効率的に実施しかつ世界に発信し知見を普及させるためには、研究資金の調達・支援体制(とくにデータマネジメント)の整備以外に、いかに早く・広く・権威をもって出版するかが鍵となる。そしてそのためには、メディカルライターの専門家養成と経験の蓄積が重要であり、本協会の存在意義もここにある。
今回のセミナーでは、癌・脳卒中二つの分野で実施され(それぞれ研究者主導、会社主導)、今後の標準治療にわが国発のエビデンスとして大きな影響を有する臨床試験を取り上げる。試験実施の中心であり、かつインパクトの高い雑誌に論文執筆をなされた研究者を迎え、研究計画から出版まで生々しいお話をうかがうこととしたい。
このような発表の機会は稀であり、医師研究者、メディカルライター以外の臨床試験に関わる方々に広く参加をお勧めしたい。
(東京大学大学院医学系研究科 教授,JMCA理事長 大橋靖雄)