医学雑誌に論文を投稿する際,抄録に次いで重要なセクションは緒言です。国際的に評価の高い雑誌には世界中から多数の論文が投稿されるため,投稿された論文の全文を編集者が読むことはできず,抄録や緒言を読んだだけで査読に回すかどうかを判断することがあります。このため,以降のセクション(方法・結果・考察)を読んでもらうためには,緒言でその研究の必要性を十分に説明することが必要で,さらに言えば,研究の必要性は実施計画書の「背景情報」でも十分に説明しておくべきです。にもかかわらず,緒言を執筆する際の留意点は十分に理解されているとはいえません。同様に,適切とはいえない背景情報を記載した研究実施計画書を目にすることも少なくありません。
日本メディカルライター協会では,抄録の書き方を身につけていただく目的で,昨年3月にメディカルライティング上級講座を開催し,参加者から高い評価をいただくことができました。今回は,緒言の書き方を題材として上級講座を開催いたします。本講座では,まず,ある架空の緒言を読んでいただき,参加者ごとに問題点をまとめていただきます。次に,参加者を6〜7名のグループに分けて,グループごとに緒言を作成していただきます。これによって,緒言の書き方を身につけていただこうと思います。
以上が今回開催する上級講座の骨子です。医学論文を執筆する方々,将来医学論文を執筆する予定にある方々,あるいは臨床研究の実施計画書を作成する方々のご参加をお待ちいたします。