大規模臨床試験のデータに関する信頼性,そして論文の撤回問題がマスコミでも大きく取り上げられている。この背景の一つに,2007年の医薬品プロモーションコードの改訂により,従来は可能であった学会発表結果のプロモーション活用が不可となり,ピアレビューされた論文のみが「エビデンス」としてプロモーションに活用できることとなった事情がある。
一方,4月25日のJMCAサロン「国際的な医学雑誌への論文アクセプトのための戦略」などJMCAのセミナー・サロンでたびたび取り上げられているように,臨床研究論文に求められる質はますます高くなり,プロモーション戦略と歩調をとった「パブリケーション戦略」の重要性,その戦略を担うパブリケーションマネージャの必要性も認識されつつある。幸い出版に成功したとしても,この成果を医薬品のプロモーション活動につなげるためには,論文に示された「エビデンス」を適切に理解し,かつ公正に医師に伝達するMRの役割が重要となる。
本講演会はJMCAで初めてのMR教育に関する講演会である。高度化する論文の内容を読み解いて医師に伝える能力をいかに鍛えるか,公正な情報伝達とプロモーションとは両立しうるのか,そもそもMRに求められる資質とは何か,をMR教育の経験豊富な方々をお招きし議論したい。上記サロンの内容の要約も紹介する予定である。製薬会社の営業部門とMR教育に携わる方々,プロモーション資料作成に携わる出版・広報・メディカルライターの方々のみならず,市販後研究の核であるメディカルアフェアーズ・学術の方々にも広くご参加を呼びかけたい。
モディレーター 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科,JMCA理事長)