講演2:「観察研究の欠測値の取り扱い」
慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学 講師
竹内文乃
観察研究では,さまざまな理由で測定すべきデータが測定されず,欠測値が生じることがあります。通常の重回帰モデルでは,モデルに含まれる全要因が測定された被験者(observed case)のみが解析対象となるため,欠測値があると,モデルが変わるごとに解析対象集団が変わることになります。本講演では、①欠測値が生じることがなぜ問題なのか,②どのような場合にバイアスをもたらす可能性があるのか,③欠測値を減らすためのデザイン上の工夫に触れながら,欠測値の取り扱いをわかりやすく説明します。欠測値の取り扱いについては,単一値による補完,多重補完のそれぞれを具体的に解説した後,感度解析の必要性を説明します。また,追跡不能,未測定の交絡など,観察研究でしばしば生じる各種の問題に対して,欠測値の問題としてアプローチする可能性についても触れることとします。
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