日本人の多くが食と健康に高い関心を持っています。各種メディアからは「何をどのように食べると体によいか」「何を食べると病気にならないか」といった情報があふれ、街に出ると様々な食品が健康効果を謳って販売されています。しかしこれらの情報は受け手に正確に伝えられ,正しく理解されているのでしょうか。その情報が不正なものや誤ったものではないと確かめることはできるのでしょうか。
これは消費者だけの問題ではなく、わが国における食品業界、人間と食品との関係を対象とする学問の世界,そして,マスコミの問題ともいえます。人間の健康と深く関わってきた、医学の世界や製薬業界などと比べて,教育や研究の環境、人間を対象とした研究として見た食品分野などは、製薬と比べて遅れているといわざるをえません。一例として、製薬会社にはあって食品会社で十分整備されていないものに、「学術」という立場の存在が挙げられます。「学術」は開発とも宣伝とも異なる立場で、自社と他社の製品も平等かつ科学的な視点で扱う専門家です。
今回のサロンでは食品と健康に関する情報をどう読み解くか、栄養疫学の論文を題材に,講義と演習を通して理解を深めて頂きたいと思います。また,製薬会社の第一線でご活躍されている講師もお招きし、薬剤におけるMRの働きなどを例にお話頂き,「宣伝」と「学術」の違いを理解して頂くことを目指しております。
また,食品分野で「学術」に貢献しているとされる健康食品においてさえも,自社製品の宣伝に留まる危険を認識し,栄養全体の正しい知識の普及を目指すことがいかに大切か,ご理解頂けることを目標といたします。
フリーランスを含むメディカルライターの方,保健関連業種,栄養関連のマスコミ,健康食品関連企業,栄養関係の大学などにお勤めの方,その他,本サロンにご興味のある方のご参加をお待ちしております。
なお,論文を題材にするため,基本的な論文が読めることが必要です。
演習後には、講師、JMCA会員・参加者のための交流の時間を設けております。お飲み物とお菓子をご用意いたしますので、ざっくばらんな雰囲気の中、情報交換やネットワークづくりにご活用ください。