Evidence-based medicineという言葉が広まるとともに,医療および健康関連の情報を伝達する際には,エビデンスを伝えることが重視されるようになってきている。しかし,医薬品や食品の臨床研究成績,すなわち,医薬品や食品に関するエビデンスは必ずしも適切に伝えられているとはいえない。たとえば,開鍵後に追加したサブグループ解析を中心に公表された大規模臨床試験成績,統計学的有意差を過度に強調した食品の臨床試験成績など,エビデンスを適正に使用しているかどうかについて疑念を抱かざるをえない事例を目にすることも少なくはない。
今回のシンポジウムでは,具体的な事例を示しながら,ヘルスコミュニケーターやメディカルライターがエビデンスを適切に伝える際に留意すべき最小限のポイントを解説してみたい。同時に,「医学や健康関連の情報を受け止める際には充分な吟味が必要であることについても,事例をまじえながらご紹介したい。