はじめに
医薬品の価値を高めるためには,市販後に適切な情報を発信する必要があります。たとえば,開発段階では解明できなかった有効性に関する情報や,使用経験を積むことによって判明した新たな安全性情報が市販後に発信する情報の代表的なものです。こうした有効性や安全性に関する情報を発信するためには,適切な臨床研究を実施する必要があります。
しかし,適切な有効性の情報を発信するためには,適切な臨床研究をデザインしなければなりません。同時に,得られた研究結果を適切に評価しなければなりません。現在の医薬品の臨床研究を見ると,こうしたデザインや解釈の点で問題のある事例も散見されます。たとえば,統計学的有意差を過度に強調した臨床試験成績や,開鍵後に追加したサブグループ解析を中心に公表された大規模臨床試験成績などを目にすることもあります。
また,適切な安全性の情報を発信するためには,個別の症例を報告するだけでなく,集積された安全性データを適切に分析する必要があります。そのためには,観察研究のデザイン・解析・評価に関する基礎知識を修得する必要があります。さらには,分析した結果を踏まえ,適切なリスク管理を企業として実施する必要があります。
今回のセミナーでは,市販後の医薬品の情報発信に焦点を定め,製薬企業や開発業務受託機関の担当者が留意すべきポイントを整理してみたいと考えます。医薬情報担当者ならびにマーケット部門および市販後安全性部門の担当者の方々のご参加をお待ちしております。