研究者主導臨床試験(自主臨床試験)を取り巻く環境、あるいはその実施のための基盤はようやく整いつつあるように思われます。「臨床研究に関する倫理指針」の理解が広まったこと、被験者補償のための保険商品が予想以上に活用されるようになったこと、高度先進医療制度の利用による未承認・適用外薬剤の臨床試験への提供が試みられていること、透明性を保つ研究資金提供に関して議論が盛んに行われるようになったことなどがその現れです。1月22日に開催された第1回臨床試験研究会が600名を超える参加のもと、熱っぽく実施されたのも象徴的でした。
今回の講演会では、研究者主導臨床試験をリードされてきた研究者の体験を語っていただき、いかにして臨床試験を成功させるかをコミュニケーションの視点も踏まえて議論したいと思います。試験成功のためには、試験の科学的意義、組織・資金はもちろんですが、中心となる研究者の情熱と周囲への、そして患者さんへの働きかけ・コミュニケーションが必要です。もちろん科学性・倫理性を備えたプロトコル・同意説明文書、各種の働きかけの文書など、成功の影には優れたライティングが必要であり、成果はもちろん論文化されねばならず、優れたライティングが得られた成果の発信と普及を支えることとなります。JMCAでは上記の臨床試験研究会と協力してプロトコルや論文のライティングの教育コースを充実させていく方針ですが、今回はプロトコルコーディネータについて、その役割と重要性について学びたいと思います。