海外で新薬の承認申請を行う,海外のジャーナルに論文を投稿する,あるいは海外のメディカルライターと交渉をするといった理由で,日本語の文書を英訳する機会は少なくありません。それなのに,「頼んだ訳文が悪すぎる」,「きちんと訳せていない」ということはありませんか?一方,「英訳を頼まれたけど,どうもうまく訳せない」とお悩みの方も多いはず。
でも,ちょっと待ってください。訳文がよくないのは,実は英語の問題ではなく,原文の日本語文書のせいではありませんか?日本語と英語では,文化的背景に基づく違いやそれに基づく表現の差があります。それらを考慮せずに作成された曖昧な和文が,よい英文に訳せるはずはありません。
英訳を前提とした日本語の文書を作成するには,押さえておくべきいくつかのポイントがあります。そのコツをつかめば,英訳しやすい日本語を書けるのみならず,日本語文書自体の完成度も上がるはずです。同時に,シンプルでクリアな英文を書くためのヒントも得られます。
今回のJMCAサロンでは,メディカル領域の和文英訳・欧文和訳のエキスパートをお招きし,日本語と英語の違いをふまえた英訳しやすい日本語の書き方・考え方について,具体的な表現や例文を用いて講義をいただきます。グループ演習では,講義内容をふまえて課題文を評価し,英訳しやすい日本語にリライトすることで,コツを実感していただきたいと思います。あわせて,日本人が作成したメディカル文書の欧文エディティング・ライティングを行っている現役の米国人メディカルライターを講師として,簡潔で明快な英語についてもそのポイントを解説します。
グローバル化を迎えたメディカルコミュニケーション領域において,最初から英語で文書を作成する機会が増えたことは確かですが,同時に現実には,日本語の文書を英訳する・させる機会も多くなっているはずです。ここで一度,英訳しやすい日本語の書き方を再確認して,よりよい和文・英文を作るためのヒントを得ませんか。(株式会社エディット,JMCA評議員 小貫 美恵子)