本邦の自殺者数は平成21年も 3万人を超え,年間死亡の2.8%を占めるまでに至っております。年間自殺者数が3万人を突破する状況は12年も続いています。経済的損失も非常に大きく,深刻な社会問題です。自殺の原因・動機としては「うつ病」が多いと言われており、うつから自殺という経過を辿った人は少なくありません。
一方,うつの改善や自殺の予防対策として,地域でのネットワークづくりや電話相談の開設など,人と人とのつながりやコミュニケーションに着目した試みが実施されてきています。
今回は,この「うつと自殺」の問題を取り上げ,臨床・研究・情報など多方面からの検討と考察を行います。そのうえで「うつと自殺」問題に対するヘルスコミュニケーションとヘルスコミュニケーターの役割を検討したいと思います。参加者の皆様にも討論にご参加いただく機会を設けたいと思います。活発な討論から,ヘルスコミュニケーターが果たせる役割を明確にし,ヘルスコミュニケーターの活躍が,うつと自殺対策に効力を発揮できるようになることを目標としています。このシンポジウムが,そのための良いきっかけとなることを目指しています。