21世紀の現在、疾病負担を減らすために重要なのは、人々の喫煙、飲酒、身体活動、食生活の行動変容です。感染症に対しては、予防接種と感染予防行動の促進も求められます。疾病の進行を抑制するための受診や服薬などの行動の促進も重要です。健康行動、行動変容を促すという視点は、保健医療のライティングでも求められています。
行動変容を促すコミュニケーション(ライティングを含む)の効果には3つの要因があります。コミュニケーションの「送り手の要因」、「受け手の要因」、そして「メッセージの要因」です。この講座は「受け手の要因」の中の心理的要因を扱います。患者さんが医療情報を読んで、健康行動を始める気持ちになり、その行動を開始して継続できることを支援するために、ライティングにどのようなポイントを含めればよいのでしょうか。この講座では、これまでの行動変容理論の研究から得られた学術的知見をもとに、その問いに答えます。
健康行動、行動変容を促すために、この100年間で様々な行動変容理論が提唱され、活用されてきました。行動変容理論は、行動がなぜ、どのように起こるのか、そして行動を変えて継続するためにどの要因にアプローチすればよいのかを説明します。保健医療分野の行動変容のライティングは、理論をふまえて執筆することになります。
この講座では、この100年間の行動変容理論の変遷を概観し、近年の二重過程理論に基づき、患者さんの行動変容の全体像と、理論をふまえたライティングのポイントを解説します。この講座は、行動変容のための患者さん向けパンフレットやウェブサイトのライティングに役立ちます。
講師は、『実践 行動変容のためのヘルスコミュニケーション』(大修館書店)の著者で、これまで5000人を超える保健医療従事者を対象に、患者・市民向け情報作成の研修を行ってきました。東京大学や帝京大学の公衆衛生大学院でも同じテーマで講義を行っています。
ぜひこの機会にご参加ください。
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