要旨
昨今、医薬品の世界同時開発が加速する中で、企業の臨床開発における日本人由来のデータや情報の蓄積が減少傾向にあり、実臨床に基づくデータや情報へのニーズが一層高まっています。リアルワールドエビデンス(RWE)は、臨床試験のみでは捉えきれない実臨床における治療効果や安全性を評価する上で、極めて重要な情報源です。
特に希少疾患や難治性疾患においては、対象患者数の制約から治験の実施が困難なケースが多く、レジストリやデータベースリサーチといったリアルワールドデータ(RWD)の活用が、臨床的意思決定を支える上で重要な役割を果たしています。国としても「育薬」の重要性を強調し、その推進に取り組んでいる状況です。
本シンポジウムでは、RWDを活用したRWEを適切に社会へ届けるために、査読付き論文(peer-reviewed publication)の果たす役割とその重要性に焦点を当てます。さらに、publicationの戦略的プランニング、実臨床データを用いたライティングにおける留意点や工夫、そして新たな取り組みについて、具体的な事例を交えながら議論します。